次期社長候補が仕事をサボっている噂に腹を立てたので素行調査を依頼した

医薬品を販売する某会社には、私をはじめとして多くの営業担当が所属しています。仕事の基本は営業にあると信じる社長の考えが反映された結果として、入社後の5年間は幹部候補であろうともノルマ達成のためハードな毎日が待ち受けているからです。入社3年目だった私は、後輩を連れて営業活動を行うことも増えてきて充実感を覚えていました。そのころ私が新たに指導する人材が配属されて、なんと社長の息子だったのです。

大学院を卒業したばかりの彼は、入社日の自己紹介時に強烈な一言を発しました。遅かれ早かれ社長になる予定なので、くれぐれも厳しすぎる指導は慎むようにと言い放ったのです。威勢が良いだけで、仕事ぶりは職場体験中の中学生にも劣るほどでした。ホウレンソウが全くできず、勝手に行動してはお客様を激怒させます。さらに悪いことには、教育係である私の許可も得ず社用車に乗って外回りに出かけてしまうのです。実際のところは、公園で昼寝しているという噂が立っていました。

後輩には仕事を舐めている次期社長という印象しか持てなくなり、堪忍袋の緒が切れて向かった先は探偵事務所でした。給料泥棒である後輩の素行の悪さを社長に伝えるためです。素行調査で確たる証拠を抑えなければ、後輩から言葉巧みに反論されて私の立場が危うくなると感じたからです。集められた情報は、後輩を会社から追い出すために十分すぎるものです。証拠を持ち込み社長に全てを話すと、息子に会社を任せられないと言われました。後日には後輩が会社のお金を横領している事実も発覚し、懲戒解雇となった彼は一生許さないと私に言い社屋から出て行きました。高額な調査費用でしたが、社長が父親としての責任を感じて全額を私に支払ってくれたのです。